hoccolie

2020/06/12 22:49

クラゲの傘を花になぞらえた空想シリーズ、花クラゲ。
家の周りで色とりどりのアジサイが次々に咲く様子が可愛かったので、アジサイをモデルにした花クラゲを作りました。

アジサイというと花びら4枚の花がたくさん集まっているイメージですが、あれは花びらではなく「ガク」なんだそうです。ガクが大きく発達した花で、「装飾花」と呼ばれています。
装飾花の中央にも小さな蕾がありますが、こちらは雌しべが退化していて、咲いても実を作ることができません。
じゃあ実をつける花はどこかというと、大きな装飾花たちにぐるっと囲まれ、雄しべがぴょんぴょん跳ねる小さな粒状のものが「両性花」です。雄しべと雌しべが機能しているので、実がなり種を作ることができます。

たくさんの花がこんもり球状に密集し、一見すると装飾花しかないように見えるアジサイも、装飾花をかき分けると両性花が隠れています。

今回モデルにしたのは「額咲き」という咲き方のアジサイです。
装飾花が額縁のように両性花を取り囲む様子からそう呼ばれています。
ガクアジサイや、ヤマアジサイという種類に多い咲き方だそうです。

こんもり咲き誇る手毬咲きのアジサイも素敵ですが、額咲きのアジサイも魅力的です。
ぽつりぽつりと浮かぶ装飾花の形が際立って見え、可憐な姿が印象に残ります。

ほんのり隙間の空いた4枚のガクからなる装飾花を、切れ込みを入れた傘で再現しました。
うっすらとした葉脈も削り描き、さりげないグラデーションで装飾性を加えています。

家の周りで咲くアジサイには、淡いものから鮮かなものまで実に様々な色合いのアジサイがありました。
今回はその中から、実際に咲いていた個体をモデルに2種類のカラーでお作りしています。
白から群青へのグラデーションがきれいな、朝露(あさつゆ)
やわらかな淡いピンクが可愛らしい、淡紅(あわべに)

しとしと降る雨の中、アジサイからフワリと旅立つ花クラゲ。
いつもとちょっと違う視点からアジサイを楽しんでいただけたら嬉しいです。